壊れる少し手前の永遠

好きなバンドについて書いていこうと思います。

台風クラブ 6/8 新潟ゴールデンピッグス 備忘録

終電があるためどついたるねんは断念、急ぎ駅に向かいました。

いや、暑かった、熱かった。

夏の入り口、そして少し湿った梅雨の手前にぴったりのロックバンド、台風クラブ
最高でした。

「とびたい」スタートから中盤のカバー連発、締めの「まつりのあと」まで40分強、楽しかったの一言です。

明日は6/9、theピーズ武道館から1周年。
今日この日に最高のロックンロールを鳴らす3ピース、台風クラブのライブを見れて本当に良かった。

rolls never end。
オシャレなシティポップやヒップホップ全盛の今日この頃ですが、やはりロックは転がることをやめず、今日も世界のどこかで鳴り響いているのです(台風クラブはオシャレでかっこいいので最強ですが)。

末長いお付き合いをしたいバンドにまたひとつ出会えました。


今日は整理番号7番。
最前列で見れて幸せ。

また、開演前の物販に台風クラブのお三方がいらっしゃったので、CDを購入し(これが2枚目)、サインと握手をしていただきました。
嬉しい。

その時気にかかっていたことをボーカルの石塚さんに尋ねました。

フジロックの苗場食堂って、ボブディランの裏だったりします?」
「裏っぽいですね」

やはり…
当日まで悩むんだろうな、と思います。

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フジロックまであと2か月 昨年のタイムテーブルから見る傾向と対策

ステージ割り発表されました!!
VAMPIRE WEEKENDとBOB DYLANのバッティングという惨劇が回避され一安心というか、今年の夏の勝利はゆるぎないものになりました。
ウキウキしながら昨年のタイムテーブル表を引っ張り出してきて、今年のステージ割を見ながら一足早く今年のステージ巡り予定を立てたいと思います。

まずは初日。
この日はエレファントカシマシとPOST MALONEが個人的マスト。
昨年の土日のホワイトが7組出演だったので、これと照らし合わせてみます。
エレカシは7組中5番目ですので、17:40もしくは18:10スタート、トリのPOST MALONEが22:00スタートとなります。
金曜夜合流予定の友人はグリーンのサカナクション直行なので(18:50 or 19:20)、エレカシの後少し見るくらいですかね。
重要なのはさっさとホワイトに陣取っておくこと。入場規制でPOST MALONEが見られない、なんてことになったら楽しい夏が初日で台無しです。

PARQUET COURTSももちろん見たいし、初日はホワイトがメインになりそうです。
ヘブンのトリであるハナレグミも捨てがたいですが、背に腹は代えられませんね...

そして嬉しい誤算がoutside yoshinoの苗場食堂。ぜひ見たい!!

outside yoshinoは2番目にクレジットされていますが、一番上は苗場音楽突撃隊。
他の所は一番上=トリですが、昨年苗場音楽突撃隊は3日とも19:00スタートのトップバッター(飛び道具的出演者は除く)。
となるとoutside yoshinoがトリ?それとも2番目?
2番目なら20:10スタート、エレカシ終わりでもまず間に合うでしょう。
初日だし、数回の山道上り下りには耐えられると信じたい。
もしトリなら00:50以降でしょうか、そうなるとGAN-BAN NIGHTの曽我部恵一が近いですが(1:30予想)まあなんとかなるでしょう。

ああ、もうワクワクしてきました。初日だけで飲食費が1万円を超えそうになる自分が容易に想像できます。
しかし、初日から遅くまでハッスルして、翌朝寝坊なんてことは絶対に許されないのです。

二日目、グリーンでeastern youth 始まり!!
ありがとうフジロック、ありがとうスマッシュ。最高としか言いようがないですね。
個人的には汗だく狂乱の宴のマーキーも乙だなと思っていましたが、まさかグリーンで見られるなんて。
開始はおそらく11:00。
去年は朝は体が全く動かず、サンボマスターグループ魂も遠くテントの中から聞いていましたが、今年は寝起きにハイネケン注入が必須条件。
朝一のグリーンで「街の底」。想像するだけでヤバい。
快晴はもちろん、雨でも絵になることは間違いなし。

あら、その前にシャムキャッツがマーキートップですか(10:20予想)。更なる早起きが必要ですな、これは。


後はJAMES BAYとFISHBONEとSTARCRAWLER見たいなあ。
JAMES BAYはグリーンで14:50かな。ホワイトがまだ出そろっていないようなので、ホワイトのSTARCRAWLERとかぶらなければいいですが。
おそらくユニコーンもそのまま見てFISHBONE、という流れになるでしょう。
マーキートリのMGMTはおそらくFISHBONEにかぶるかな、帰りがてらKENDRICK LAMARを眺めてこの日は締めですかね。
あ、マーキーのSUPERORGANISM(15:50)はどうしようか...

過去の経験から言うと、屈強な私は二日目の半ば時点でHP,MP共に限界値を軽くオーバーすることは確定事項。
上記スケジュールは絵に描いた餅になる可能性は高いです。


最終日はもう決まり!!
グリーンでJACK JOHNSON、VAMPIRE WEEKEND、BOB DYLAN!!
もうグリーンから動かん!!
後ろではなくどのアクトもモッシュピットで見たいので、この日は体力とか便意とか空腹とか色々なものと戦うことになるでしょう。
DIRTY PROJECTORSは無念極まりないが諦めます。

CHVRCHESは,,,あれ、ホワイトのトリならBOB DYLANの後少し見れる?
まあ山登る体力はとうに尽きているでしょう。
そして本当に惜しいのが最近激ハマリの台風クラブ
苗場食堂で4組目なら21:20スタート、まずBOB DYLANと丸被りでしょう。断念せざるを得ない。

フジで見たかったな、台風クラブ。せめてもの償いとして、最終日は台風クラブのバンドTで過ごそうと思います。
基本週末土日しかライブをしないバンドなので、前夜祭とかも無理だろうしな...残念。


まあ最初はサマソニと比較してどうなることかと思いましたが、予定を立ててみれば今年のフジロックも最高でしかないことがよく分かりました。
最近は晴れていれば晴れの苗場を思い出し、雨の日には雨の苗場を思い出すフジロック躁状態なのでかなり生きやすくなっています。
その分フジロック後の反動はとんでもないことになりそうですが、まあそれは置いときます。


今年も暑くて熱い夏になりそうです(私の夏は前夜祭含め4日で終わります)。

岡村靖幸 5/18 新潟市民芸術文化会館 備忘録

今回で3回目の岡村靖幸ライブなのですが、終演後毎回思うことがあります。

きちんと曲を予習しておけば良かった、と。

岡村ちゃんのファンになってからもう10数年経ちますが、私は超代表曲と最近のシングルくらいしかCDできちんと聞いたことがありません。

昨年の金沢のライブで初めてカルアミルクを聞き、「これがかの有名なカルアミルクか」となったレベルで曲を知りません。

今回のライブも初めて聞く曲がたくさんあり、サビで何の曲かようやく分かる、という場面が何回もありました。

しかし、私はおそらく次のライブも予習なしで臨むことになるでしょう。

それは、愛する岡村靖幸の楽曲を「初めて聞いた時の感動」をたくさんとっておきたいからです。
中学生の時「ロングシュート〜」を初めて聞いた時の感動を、30手前の今でもライブで感じたいのです。

以前のライブで「カルアミルク」「イケナイコトカイ」「ペンション」を聞いた時に浴びた興奮と感動を、今日も「どんなことをして欲しいの僕に」で感じることができました。


今日のライブは10時前になりようやく終わりました。
少し肌寒い気温が火照った体を冷やします。

おそらく来るべき次の秋のツアーも、「out of blue」とまだ聞いたことのない岡村ちゃんの「新曲」を聞きに行き、そしてまた予習しておけば良かったと思うことになるのでしょう。


フジロック後の生きる目標がまた一つできました。
こういう幸せな記憶を積み重ね、日々を生きのばしていくのです。

the chewinggum weekend そして the MADRAS 鳴り止まない音楽たちへ(2)

探し続けて早幾年、一向に巡り合えないthe chewinggum weekendのCD。
趣味だったはずのレコード屋巡りが少しづつ苦痛になり始めていた頃。

通販ショップ「駿河屋」で見つけてしまったのです。
「the chewinggum weekend 『Killing Pop』 6300円」の表記を。

確かにこれまでネットで見た値段(8000円~12000円)よりは安い。
高校生の時とは違い、今ならこれくらいはすぐ出せる。
それに他の客に見つかればすぐ買われてしまうだろう、そうなったら確実に後悔する...

しかし。
長年追い求め、思いが肥大化しもはや夢というよりも人生の目標(の一つ)となっていたCDをあっさりネットで買っていいものか。

当時、私は仕事でたまる一方のストレス発散を買い物で行うようになってしまっており、藤子F不二雄の短編集や島本和彦の単行本など(漫画ばっかり)それまで欲しかったものは一通り買い集めてしまい、大げさでも何でもなく「Killing Pop」が人生最後の欲しいものになっていました。

ここで達成感の無い勝利を掴んでしまったら、この先何を目標に生きていけばいいのか。
誰かに先を越されてしまった時の後悔と、人生の目標を安易な形で手に入れる後悔、どちらを選ぶべきか。


私は、購入ボタンを押し、一週間後それは自宅に届きました。


CDは間違いなく最高でした。
待ちに待った「エレキング」のイントロから始まり、「消えない光がある それだけあれば行くよ」と力強く歌う「キリングポップ」。
壊れる寸前のギターソロの中、「解けない魔法がまだ 胸で鳴り止まない いつか見た幻 追いかけたいよ」と優しく歌う「ウォーターピストル」。
心の空洞を埋めるかのように、CDを繰り返し再生しました。

しかしこれ以降、私はレコードショップの棚をほとんど見なくなってしまいました。
少し気になるバンドがいてもyoutubeで少し聞いて終わり。
新規開拓もおろそかになり、新譜を買うバンドもsyrup16gART-SCHOOLeastern youth そしてGRAPEVINEと、田舎のレンタルショップに置かれないCDのみ(最近はスピッツですらレンタルで済ませるようになってしまいました)。
「Killing Popロス」に襲われ、人生の延命装置ですらあった音楽を以前より聞かなくなっていきました。

余談ですが、この年の暮れ、広島カープ日本シリーズ3連敗を札幌ドーム現地で見たショックにより熱狂的カープファンからの引退を決断、人生の大きな支えだった2つの熱を失うことになりました。


しかしこの年、2001年のバンド解散後、音楽活動から遠ざかっていた橋本さんの新しい音源がネット上にアップされました。
そのバンド名は「the MADRAS」(音源が出たときは橋本孝志 with Dots Dash & Rico名義でした)。

2016年3月に「スタンド」、翌4月には「ロスト」。
そこには15年前と何ら変わらない橋本さんの歌声が、力強いバンドサウンドの中で響いていました。


「曖昧な夢に溺れるのはやめたんだ 消えたくなる夜を僕らは超えていくよ」(ロスト)


この歌をライブで聞きたい。
the chewinggum weekendを解散後に知り、そのCDすら正規の方法では購入できなかったファンとは言えない存在かもしれませんが、直接会って想いを伝えたい。
新しい人生の目標に、「the MADRASのライブに行く」という項目が追加されました。



ちなみに私の浪費癖は無事(?)健在であり、現在はレコードプレーヤーも持っていないのにレコード収集を行っています。
先日はバカ高い値段でスピッツの「フェイクファー」オリジナル盤を購入しました。
結局欲しくなるなら30周年再発盤を定価で買っておけば、と後悔するも後の祭り。
毎月毎月、貯金を来月の自分に託す生活を送っています。ストレスはたまる一方なのですが。

the chewinggum weekend そして the MADRAS 鳴り止まない音楽たちへ(1)

私が高校生だったころの夢の中に、the chewinggum weekendというバンドの「Killing Pop」というアルバムを購入する、という項目がありました。

the chewinggum weekend。
初めて聞いた時から今まで、ずっと恋焦がれているバンドです。
そのボーカルである橋本孝志さんは現在the MADRASというバンドで活動されています。
先月、私は遂にthe MADRASのライブに行き、橋本さんの歌声を生で聞くことが出来ました。



キラキラと輝き、しかし今にも崩れ落ちそうな轟音のギターの向こうから聞こえてくる、橋本さんの甘い歌声で紡がれる切なさとポップさが入り混じった歪で美しい詩。
エレキング」という曲を聞いた時、「これは僕のバンドだ、聞きたかったのはこれだ」と強く感じたことを覚えています。

出会いのきっかけはおそらくthe pillows
当時のサポートベースだった淳さんの元在籍バンド、ということで名前を知ったのだと思います。
バンドは2001年にすでに解散しておりネットにもあまり情報は無く、分かったのはアルバムを2枚しか出しておらず、その2ndアルバム「Killing Pop」はプレミアがついており高校生には手の出しづらい値段であることくらいでした。

曲はニコニコ動画で聞くことができました(立派な違法視聴で申し訳ないですが)。
記憶がものすごくあやふやなのですが、大昔のニコニコ動画って会員登録にお金が必要だった気がします。
syrup16gの密録音源のサムネを眺めながら、聞きたいけど家族共用のパソコンで得体のしれないサイトに登録するのはなあ、と逡巡していました。
それが無料で登録できるようになり、こっそり登録し、そこでsyrup16gart-schoolを貪るように聞く中で、ついにthe chewinggum weekendの音源に出会いました。

エレキング、キリングポップ、ロマンス、ウォーターピストル。
珠玉の名曲が詰まった「Killing Pop」の虜になり、いつかお金持ち(?)になって1万円近くするこのアルバムを所持できるような人間になりたいと思ったものです。

それからは中古CDを探しに行くとき、いつも「チ」の行をドキドキしながら見ていました。
1st album「チューインガムウィークエンド」は比較的早く、安価で手に入りました。
2ndのギターロック然としたサウンドとは異なり鮮やかなアレンジが施されたアルバムで少し意表を突かれましたが、シングルにもなっている「あの娘をつかまえて」は名曲中の名曲。
「あまりに頼りなくて儚い夢 見続けてるの」というサビは何度聞いたか分かりません。実は2ndの曲を差し置いて一番好きかもしれません。

大学生になり、昼休みに大学近くのブックオフでsingle「アイス」を見つけたときは思わず声が出ました。しかも100円。
物の価値が分からぬ愚かな民よ、とニヤニヤしながらレジに持っていきました。


塾講師のアルバイトをするようになり、一応は「Killing Pop」をネットで購入できるくらいのお金は貯まりました。
しかし私の夢は「Killing Pop」と「どこかのCDショップの棚で出会い」購入することに変貌していました。

CDはCD棚に陳列されているもの。
ネットで高いお金を払って(しかも本人にそのお金が行くわけでもない)憧れのCDを手に入れるのは、例えは最低の部類ですが、風俗で偽りの愛に溺れるようで何か嫌だったのです、当時の私は。
どこかのCDショップで恋に落ちるように「killing Pop」と出会いたい。
その想いを胸に、いつか出会える日を夢見、18歳からおよそ8年間、期待を胸に秘めて「チ」の行を探し、そして落胆し、を繰り返し。


そして2016年4月、社会人3年目の春。
私は6300円でその「風俗」で「偽りの愛」に溺れてしまうのです。


the chewinggum weekend - あの娘をつかまえて (PV full ver.)

syrup16g 3/20 新木場STUDIO COAST「冥途」思い出し感想(last)

本編ラストは1stから「Drawn the night」、そして1st mini album『free throw』から「翌日」で締め。
「ロックの未来はsyrupにあり! 世紀末、静かに放たれる彼らの[フリースロウ]」
帯にそう銘打たれた、現在の若いバンドの水準からは考えられない音質レベルではありますが、間違いなく名盤である『free throw』。
syrupの全てが詰まっているアルバムであり、表現がどんなに鬱屈した方向に向かってもやはりsyrupの本質はこのアルバムの1曲目「翌日」だと思っています。

syrupは(セールス的には)世界を変えられなかったし、ロックの未来を託されるには荷が重かったかもしれませんが、日が経つにつれ美化される記憶の中で「伝説」として終わるのではなく、全てをさらけ出しながら現役のロックバンドとしてこの日まで生きながらえてきました。
それが最も素晴らしいことであり、それが全てだと感じさせられるライブでした。

「翌日」のあたりになると、最初はボロボロだった声も少し戻ったというか、気にならなかったというか。
中畑さんのコーラスがいつも以上にきれいに響いていた気がします。
この日が終わりではなく、また今日の続きの日が訪れることを確信させてくれるラストでした。


ここまでで14曲、もちろんこれでは帰れません。
すぐに早くなり、波のように何度も消えながらも鳴りやまない手拍子の中ステージに戻ってくるメンバー。


なんとメンバー全員同じ「十六夜」のTシャツ着用での登場。
ここがこの日何回目かの個人的ハイライト。
普段であれば五十嵐さんと中畑さんが最もダサいTシャツ、キタダさんがその次にダサいTシャツを着用と役割分担(?)が決まっていましたが、この日はついにキタダさんがダークサイドへ。
患者Tの時もキタダさんは「医者」だったり、やはりどこかでバンドを俯瞰できる一歩引いた場所にいた印象のマキリンでしたが、最後の最後で、音的にも服装的にもひとつのバンドに。
『copy』から16年、紆余曲折を経てsyrup16gがバンドであることを取り戻したことを感じさせるシーンでした。

このあたりからは客席も盛り上がることに一切の遠慮がなくなっていました。
かつては手を挙げる人はごく少数で、後ろから見てると大海原で救助を求めている人状態で、その人も周りの空気を察し次のサビでは手を挙げない、というような光景が常だった気がしましたが、この日は最前列は完全にモッシュピットとして機能していました。

「無効の日」から始まって、「生活」「神のカルマ」「share the light」「天才」そして「真空」。
盛り上がるな、という方が難しい激しい曲で固められたアンコールは本当に一瞬で終わりました。

やはりこれでは帰れない。
祈るように手拍子を続けました。


ダブルアンコールでは五十嵐さんだけ「冥途」シャツを着用。
確かに、中畑さんもキタダさんもすぐ別の現場があって、休むのは五十嵐さんだけだもんな、と妙に納得。
また記憶があやふやですが、「頑張れ」と何人にも呼び掛けられる中で、「良かったよ」だったか「お疲れ様」だったかの声に瞬間で反応する五十嵐さんに笑いました。めっちゃ聞こえてるんだな、と。

最後は「reborn」でした。
「またいつか戻ってきます。また会いに来てください。おやすみなさい」というMCで始まったイントロ。
バンドの節目節目に演奏される、とても大きな意味を持つ曲となった「reborn」を五十嵐さんは丁寧に歌い上げていました。

ライブ後に発売された音楽と人のインタビューで、五十嵐さんが自ら書いた「reborn」の歌詞に救われている、という発言を読んで、私的にはこのライブがようやくひと段落しました。
五十嵐さんが「reborn」に(というかこの曲が代表曲として扱われることに)あまり良い印象を持っていなかった気がしていたのですが、ファンにとってはもちろん、五十嵐さんにとっても大切な曲になっていたこの曲に思いを込めてステージを後にしたsyrup16g
寂しくないといえばウソになりますが、また会える日を楽しみに待つ日々も悪くはありません。


最近は天気もいいので、五十嵐さんには部屋に引きこもらず散歩にでも出て気分転換しつつ休息の日々を過ごしていてもらいたいです。
そしてまた生きている間に(五十嵐さんはもちろんこちらも)戻ってきていただきたい。
亡くなられてた青木さんのこともありますが、生まれ変われるのは生きていられる間だけです。
まあ特に連休もなく世間で言うGWを社畜として過ごした私が言えることではありませんが...


2か月近く前のライブの感想をようやく書き終えることが出来ました。
あれ以降、かなりのペースでライブに行きました。
同じく新木場できのこ帝国、松本でART-SCHOOL、下北沢で台風クラブ/サニーデイサービスの対バン、その夜に同じく下北沢でthe MADRAS(チューインガムウィークエンドの橋本さんが始めたバンドです)、そして豊洲でフェニックス。

お金が貯まるわけがない生活ですが、大学院の地獄の日々を考えると何とも幸せな日々を送ることが出来ています。
昨日より今日が素晴らしい、とまあ言い切れなくもない人生に感謝しつつ、明日から仕事です。

フジロックのためにいっぱい働いていっぱい稼いで、苗場で浴びるほどビールを飲めるよう頑張ります。

恋は雨上がりのように ルパンを超えた店長

世間は明日からGW。
そんな風潮をものともせず明日も絶賛出勤の私が残業を終え意気揚々と帰宅すると、ポストにamazonから「恋は雨上がりのように」最終巻が届いておりました。

最高の締め方だったのではないでしょうか。
早速お酒を買い込み、1巻からじっくりと読み直し現在このブログを書いております。
おそらく今回も支離滅裂な文章だと思います。絶対自分では読み返したくないです。


感想としましては、マンガ(アニメ)のかっこいい中年ランキングがあれば、店長はカリオストロのルパンを超えたな、ということです。

中年が真っすぐな少女の想いと対峙した時、どう振舞うのが正しいのか。
全ての日本男児が「カリオストロの城」のラストシーンで学んだことと思います。
目の前の少女を抱きしめたいという葛藤に打ち克ち、広がる未来への道へ少女を戻して去っていく。
そういう大人になりたい、と思ったかつての私(現在28歳独身)は500mlのビールでへべれけになっています。


店長の振舞いはルパンを彷彿とさせるシーンが多々あるな、と今回読み直して気が付きました。
捕らわれた(本作は精神的に、クラリスは物理的に)少女の心を手品で解きほぐそうとする所とか。
自身の恋心を自覚し、終わりの時を引き延ばそうとする自分に気が付きながら、主人公のために思いを断ち切り、陸上への復帰を促す所とか。

しかしルパンとの大きな違いは、店長は泥棒ではなく、大人になり切れなず、全てを見失いかけていた文学青年であること。


ルパンはクラリスの心を盗んで去りました。
店長は一度は奪った少女の心をそっと返したのです。
ここが、この漫画が最高だな、と思った点です。


以下本文から引用します。
最後の「デート」からの帰りの車中での会話。

「...今日のこと、俺 きっと一生忘れないんだろうな」
「あたしも... あたしも忘れません!」
「え? いや~ 橘さんは忘れるよ~」
「忘れません! 絶対絶対忘れませんッ!!」
「いいんだよ。橘さんは忘れたっていいんだ。」

最高のシーンでした。
アニメはまだ見ていないのですが、この場面までやったのでしょうか。

少女のために、自分ができること。
それは、光の向こうへ助走をつけられるようにそっと心を押してあげること。
そしてその未来には自分との記憶は必要ない。
忘れてくれ、ではなく忘れたっていいんだ、という言い回しがなんとも言えない優しさを感じさせます。
少女の恋心を優しく返してあげることで、それはよりよい形で少女の心に残り、未来へ歩を進める力へと変わったのです。


他にキたのは、店長が「君にもあるんじゃないのか? 待たせたままの... 季節の続きが」とあきらに問いかけるシーン。

君には、じゃなくて、君にも、ですよ。

カリオストロのラストシーン、クラリスと分かれた後にルパンが車内で見せた物思いにふけった表情を思い返していただければお分かりいただけると思いますが、ルパンはあの一連の騒動で何をも手にすることはできませんでした。
不二子にちょっかいをかけるため冒頭でいらないと捨てた偽札を作るための原版を前に明るく振舞ってみたり、銭形と追いかけっこをしたり。
自身を興奮させてくれる何かを探すため、無為な日常を紛らわせるため、あてもなく世界をさまよう根無し草。

しかし店長は小説に対する情熱を、過去と現在の自分が断絶された存在ではなく地続きであるという事実を、主人公によって取り戻していました。
雨宿りをするスペースを少女に与えていたはずの自分が逆に与えられていた。
これが盗むことしかできなかったルパンと、与えることができた店長との違いだったのではないかと思います。


最終話の部分も、雑誌掲載時には手紙は読めずにいる、という部分が手紙は読まずにいる、と変更が成されていたところも良かったです。
読めずに、だとどこか後ろ髪をひかれている感じがありますが、読まずに、だと自分の意志で読んでおらず、吹っ切れている感じがより強く出ていると思います。

最後のプレゼントが雨傘じゃなくて日傘な所とか、実は同世代でもどこかで接点があったんじゃないかと思わせる想像のシーンとか、とにかく最高な1冊でした。


この漫画はきっと今後も繰り返し読めるだろうな、と思います。
10巻前後で間延びせずきちっと完結するマンガって最高ですよね。
寄生獣とかトライガンとかヨコハマ買い出し紀行とか。
そういえばルパンといえば、実写版で主演の大泉洋カリオストロの銭形の物まねが上手だった気がします。
いよいよ思考がとりとめもなくなってきたので、もう寝ることにします。


明日も頑張って働きます。