壊れる少し手前の永遠

好きなバンドについて書いていこうと思います。

syrup16g 備忘録 今宵の月のように

zepp tokyoから出て、私はすぐ空を見上げました。
今日の月、十六夜の月が出ているか探すためです。
それは大観覧車の隣、昨日の満月と一見何ら変わることのない綺麗な姿で輝いていました。

次の日から欠ける満月より14番目の月が好き、と歌ったのは誰だったでしょうか。
しかし今日の夜空を眺めると16番目の月、というのも素敵だな、と感じました。
ピークを過ぎ、これから形を失う一方だと分かりながら、終わりへの歩を進めることをためらわず、むしろ能う限り輝こうとするような月。
ただの語呂合わせではなく、それはsyrupにも通じる所があると思います。

未来や希望の有る無しに関わらず、生きている限りは生きるためもがく。
どんな負の感情にとらわれようとも、ゴールは死ではなく生きること。

どんな形になっても歩みを止めず、生命のエネルギーを放射し続ける月とsyrup。
今日のライブはより一層特別だなあ、と考えながら空を見ていると、カンボジアの子供に募金を、と十中八九詐欺であろうおばさんに捕まってしまいました。

側から見れば口を半開きで観覧車の方向を眺め続ける男。それは田舎者丸出しの行動であり、詐欺を働くには格好のカモでしょう。
そして実際私は超が付くほどの田舎者。

おばさんの波状攻撃を振り払うことができず、私は諦め千円を差し出しました。
これはダサいsyrupのTシャツにポンポン金を出すというお金のありがたみを忘れたことに対する罰なのだ、と自分に言い聞かせながら。

おばさんは私に握手を求めながら、
お兄さんにはきっといいことがあるよと言ってきました。
流石冷凍都市東京の詐欺はレベルがちがう。
カモった相手にトドメを刺すことを忘れません。
いいこと?とりあえず千円返してくれ。

今日は飲んで仕切り直します。
心のひとつふたつ折れたくらいで生きることを諦めるわけにはいかないのです。
そう、今宵の月のように...