壊れる少し手前の永遠

好きなバンドについて書いていこうと思います。

syrup16g delaidback 「生還」への追憶

syrup16gのnew album「delaidback」。
発売日の2日遅れでamazonから届いてからもう何回聞いたことか。
2017年度ベストアルバムはこれに決定です。

このアルバムには五十嵐隆名義のライブ「生還」で披露された曲が5曲収録されています。
これらの曲を聞くと、2013年5月18日の記憶が一瞬でよみがえってきます。
ただし、いい思い出としてではなく負の感情ですが。


4年前はまだ大学院生で、あの日も朝からずっと研究室にいました。
奇跡的にチケットの抽選に当たり、本当に生きていてよかったと思ったのをよく覚えています。
後で教授に怒られるのを覚悟でフラッと食事に行くふりをして研究室を抜け出し、NHKホールに向かいました。
初恋の人に久しぶりに会うような期待と不安を抱えながら開演ギリギリに到着。たしか2階席でした。
開演前の会場には延々とrhyeの「open」流れていました。


結論から言うとあの日のライブの後、私は途方もない徒労感というか、悲しみというか、一言でいえばひどくがっかりしていました。
え、これで終わり?というのがウソ偽らざる感想でした。

確かに暗幕の向こうから「Reborn」が聞こえてきたときはあっという間に涙が出てきたし、
「Sonic Disorder」であの3人のシルエットが浮かび上がった時の高揚感はすさまじいものがありました。
久しぶりに聞けた「生活」は全く色あせていませんでした。

しかし、私が聞きたかったのは、あの日に限って言えば、syrup16gの過去の曲ではありませんでした。

新曲は?
五十嵐隆の新しい音楽活動の、その初日ではないのか?
募る不安。

6曲目、ネットで何回も聞いた「赤いカラス」のイントロが。
よかった、頭の5曲はファンへのサービスで、これからいよいよ新曲が、何なら残り全部新曲でもいいと安心したのもつかの間。
あれ、サビ変えたんだ。
もちろん昔の曲だし変わるのは仕方ないけど、前の方がよかったな・・・

次の新曲「ラズベリー」も、今回改めてアルバムで聞くととてもいいのですが、あの日はピンとこず。
続く「さえないコード」「透明な日」「ヒーローショー」はなかなかいい曲。
「真夏のターンテーブル」(あの日は真昼の、と歌っていた気が。またDVD見返してみよう)はまあ普通かな。
さあ、どんどん新曲を続けてくれ、五十嵐。


残りは全てsyrup16gの曲でした。


半ば茫然としながら、1曲、また1曲と終わるステージを眺めていました。
今後についてのアナウンスも一切なし。

「生還」ではなく、過去のメンバーで過去の曲を演奏する、まるで同窓会のようなライブ。
ようやく薄れてきたsyrup16gの記憶を頭の奥底から無理やり引っ張り出され、そのまままた放置プレイ。
当時はsyrupが再結成するなんて微塵も思っていなかったので、
次に続かない、醒める夢なら見せないでくれ、と本気で悔しかったです。

犬が吠えるがポシャって4年経ち、ようやくライブを行った五十嵐さんにsyrup以外のビジョンが無いとは思ってもみませんでした。
無理やり金のために誰かがやらせたのだろうかという邪推すらしていました。

こんなことならライブに来るんじゃなかった。
あんなに楽しみにしていたはずなのに、体にのしかかるのは後悔のみ。
疲れ切った体で大学に戻り、だれもいない研究室で朝まで実験の後処理をしていました。


syrupが再結成して早三年。今ではもう遠い記憶です。
生還の曲もここ何日かはヘビーローテーション
ライブの時より音程がはっきりしているから聞きやすいのでしょうか。

何よりうれしいのは、生還の曲や過去ネットにアップされていた曲以外の、初めて聞く曲が素晴らしいこと。
ラスト4曲の「開けられずじまいの心の窓から」「4月のシャイボーイ」「変拍子」そして「光なき窓」。好きすぎます。
特に「光なき窓」はダブルアンコールのラストで五十嵐さんがアコギを弾きながら歌う姿がありありと浮かんできます。


来年もsyrupの予定があるという、なんという素晴らしい2017年。
ぜひライブ後半戦ではこれらの曲をやってほしいと切に願っています。