壊れる少し手前の永遠

好きなバンドについて書いていこうと思います。

ART-SCHOOL 「In Colors」

ART-SCHOOLの新譜、ようやく購入しました。
これは名盤です。
最新アルバムが最高だ、と言い切れるバンドを好きでいられることは本当に幸せです。

ART-SCHOOLが明るい曲を歌ったからどうとか、過去のアルバムに比べてここがいい、という比較論ではなく、「In Colors」という全10曲のアルバム単体が純粋に素晴らしい。
音楽を語る言葉を持ち合わせていないので何がどう良かった、ということを的確に表現できないのがもどかしいですが、私は評論家ではないので感じたことが全てでいいんだ、という開き直りで今回は書き進めていきたいと思います。

正直配信シングルの「スカートの色は青/evil city / cool kids」や「Dreaming Of You」「OK&GO」のPVをそれぞれ単体で聴いた時はピンとこなかったのですが、アルバムを頭から通しで聴くと、どの曲もすっと体に入ってきます。本当に繰り返し聴けるし、実際聴いています。
この配信全盛期に、アルバムである必要があるアルバムを出してくれることがまず嬉しいです。

あえて過去のアルバムと比較しても、今回特別新しい要素が加わった、ということは無いように感じます。
盤石のリズムにドリーミーなギターが乗り、美しいメロディー、映画のワンシーンを切り取ったような歌詞が木下理樹によって紡がれる。
言ってしまえばいつものART-SCHOOLです。
ただ今回のアルバムは、ART-SCHOOLART-SCHOOL足らしめる上記の要素の純度が異常に高い気がします。

勝手な想像ですが、これはバンドのパワーバランスが変化し、木下さんがバンドの演奏やメンバーに文句をつけられる要素が無くなり、「いい曲」を作ることに特化できたからではないか、と思っています。

かつてART-SCHOOL木下理樹の世界を表現するために存在する木下理樹のワンマンバンドでした。
メンバー間(というか木下さんvs他メンバー)の数々の衝突により、オリジナルメンバーは彼以外残っていません。
衝突自体はメンバーが仲間であると信じているからこそ生まれるという要素があると思いますが、木下さんがバンド運営(運営と呼ぶには程遠いあまりに不健康な形ですが)に労力を割かれていた部分はあると思います。

しかし現在、バンドの状況は変わりました。
在籍年数2位のギター・戸高さんはRopes,Crypt City,MOMOEYESと複数のバンドに所属する売れっ子ギタリストです。
ある意味ART-SCHOOLが無くても問題ない立場にあり、バンドに対する影響力はかつてとは段違いに強くなっているのではないでしょうか。
そしてベース、ドラムはサポートの中尾憲太郎藤田勇というベテランミュージシャン。
演奏力以前に、ナカケンに文句を言えるリッキー、という絵面が想像できません。

演奏は過去最強レベル、そして強面な先輩に囲まれてお山の大将ができるとは到底思えません。
木下さんがバンドにできるのはいい曲を書くこと1点のみであり、力と才能すべてをそれにつぎ込むことができるバンド環境になったからこそ、今回のマンネリから最も遠い新鮮な名曲がつまったアルバムが完成したのではないでしょうか。
妄想をつらつらと並べて申し訳ありません...


歌詞に関しても、明るく希望や光を求めたものに変化した、という解釈は正しくないような気がしています。
木下理樹が抱いている感情、表現したいと考えていることがその時々のアルバムに反映される、というART-SCHOOLの根幹は今回のアルバムも一切変わっていないからです。
ART-SCHOOL、というか今回のアルバムが特に好きなのは、明るい歌詞だからいいのではなく、客に「ウケる」ために、ことさらに増幅したネガティブな言葉遊びが持ち込まれていないからだと思います。
20歳の木下さんと40歳の木下さんは全く別の人間です。それにもかかわらず、20歳の時の焦燥や激情をトレースしようとすれば、それは惨めなイミテーションにしかなり得ないでしょう。
木下さんが過去の作品や自分にとらわれず、意識的に現在の自分を、そして現在の自分に響く言葉のみを最新の作品に落とし込み続けているからこそART-SCHOOLはロックバンドとしての輝きを失わないし、ライブで演奏される過去の曲は「嘘」の表現を含んでいないからこそ作られた当時のパワーを保持したまま生きられるのだと思います。

エレカシとsyrupの遠征でアホほどお金を使ってしまったし、仕事の日程的にもツアーに行くのは厳しいかな、と思っていましたが、こんなアルバムを聴いてライブに行かない訳には行きません。
あと今回のアルバム、機械でいじっているのでなければ歌声が近作の中ではすごくよくなっている気がします。
金沢か松本か、頑張って予定を開けられるようにします。お金は来月の自分のやりくりに託します。

後アルバムを買うのがこんなに買うのが遅れた理由は、タワレコのインストアイベントの整理券をもらわないようにするためでした(それなら最初からタワレコで買わなければいいだけの話だったのですが)。
なぜなら4/14は仕事で絶対に行けませんが、整理券があったら行きたくなってしまうからです。
エレカシのライブの次の日、アルバム発売から1週間たてばもう整理券はないだろうと安心して「In Colors」を購入すると、あっさりもらえてしまいました。
なんでまだ残ってるんだ。行きたくなるじゃないですか、もらっちゃったら。


アルバムと整理券郵送するので、誰かサインもらってきていただけませんか...?




ART-SCHOOL「Dreaming Of You」MUSIC VIDEO


ART-SCHOOL「OK & GO」MUSIC VIDEO