壊れる少し手前の永遠

好きなバンドについて書いていこうと思います。

the chewinggum weekend そして the MADRAS 鳴り止まない音楽たちへ(2)

探し続けて早幾年、一向に巡り合えないthe chewinggum weekendのCD。
趣味だったはずのレコード屋巡りが少しづつ苦痛になり始めていた頃。

通販ショップ「駿河屋」で見つけてしまったのです。
「the chewinggum weekend 『Killing Pop』 6300円」の表記を。

確かにこれまでネットで見た値段(8000円~12000円)よりは安い。
高校生の時とは違い、今ならこれくらいはすぐ出せる。
それに他の客に見つかればすぐ買われてしまうだろう、そうなったら確実に後悔する...

しかし。
長年追い求め、思いが肥大化しもはや夢というよりも人生の目標(の一つ)となっていたCDをあっさりネットで買っていいものか。

当時、私は仕事でたまる一方のストレス発散を買い物で行うようになってしまっており、藤子F不二雄の短編集や島本和彦の単行本など(漫画ばっかり)それまで欲しかったものは一通り買い集めてしまい、大げさでも何でもなく「Killing Pop」が人生最後の欲しいものになっていました。

ここで達成感の無い勝利を掴んでしまったら、この先何を目標に生きていけばいいのか。
誰かに先を越されてしまった時の後悔と、人生の目標を安易な形で手に入れる後悔、どちらを選ぶべきか。


私は、購入ボタンを押し、一週間後それは自宅に届きました。


CDは間違いなく最高でした。
待ちに待った「エレキング」のイントロから始まり、「消えない光がある それだけあれば行くよ」と力強く歌う「キリングポップ」。
壊れる寸前のギターソロの中、「解けない魔法がまだ 胸で鳴り止まない いつか見た幻 追いかけたいよ」と優しく歌う「ウォーターピストル」。
心の空洞を埋めるかのように、CDを繰り返し再生しました。

しかしこれ以降、私はレコードショップの棚をほとんど見なくなってしまいました。
少し気になるバンドがいてもyoutubeで少し聞いて終わり。
新規開拓もおろそかになり、新譜を買うバンドもsyrup16gART-SCHOOLeastern youth そしてGRAPEVINEと、田舎のレンタルショップに置かれないCDのみ(最近はスピッツですらレンタルで済ませるようになってしまいました)。
「Killing Popロス」に襲われ、人生の延命装置ですらあった音楽を以前より聞かなくなっていきました。

余談ですが、この年の暮れ、広島カープ日本シリーズ3連敗を札幌ドーム現地で見たショックにより熱狂的カープファンからの引退を決断、人生の大きな支えだった2つの熱を失うことになりました。


しかしこの年、2001年のバンド解散後、音楽活動から遠ざかっていた橋本さんの新しい音源がネット上にアップされました。
そのバンド名は「the MADRAS」(音源が出たときは橋本孝志 with Dots Dash & Rico名義でした)。

2016年3月に「スタンド」、翌4月には「ロスト」。
そこには15年前と何ら変わらない橋本さんの歌声が、力強いバンドサウンドの中で響いていました。


「曖昧な夢に溺れるのはやめたんだ 消えたくなる夜を僕らは超えていくよ」(ロスト)


この歌をライブで聞きたい。
the chewinggum weekendを解散後に知り、そのCDすら正規の方法では購入できなかったファンとは言えない存在かもしれませんが、直接会って想いを伝えたい。
新しい人生の目標に、「the MADRASのライブに行く」という項目が追加されました。



ちなみに私の浪費癖は無事(?)健在であり、現在はレコードプレーヤーも持っていないのにレコード収集を行っています。
先日はバカ高い値段でスピッツの「フェイクファー」オリジナル盤を購入しました。
結局欲しくなるなら30周年再発盤を定価で買っておけば、と後悔するも後の祭り。
毎月毎月、貯金を来月の自分に託す生活を送っています。ストレスはたまる一方なのですが。