壊れる少し手前の永遠

好きなバンドについて書いていこうと思います。

syrup16g SCAM:SPAM:SCUM 新木場2days 雑記

ここ最近、syrup16gの音楽を聞く頻度がめっきり減っていた。

そろそろ私も卒業かな、と思っていたのだが、この2日連続の無観客ライブを見てあっさり再燃。やはりそう簡単に抜け出せるものではなさそうだ。

そして無観客のフロアを見ながら、どうして最近syrup16gを聞かなかったのか、という理由に思い当たった。

ものすごく恥ずかしい、思い上がりも甚だしい事なのだけれど、syrup16gが「自分のバンド」でなくなった様な気がしていたのだ。

syrup16gを取り巻く環境は素晴らしいものだと思うし、このバンドがライブ毎に何かをすり減らす様な過去の状態に戻って欲しい、という気は全くないのだが、満員で盛り上がるフロアにどうしても馴染めない自分がいたことを否定できない。

他の客が嫌なら映像で我慢しろ、で終わる話なのだが、バンドと自分の1対1、という空間が好きだった老害としてはどこか拗ねた気持ちでいたように思う。

極め付けは去年のツアー、復帰後初めてチケットが取れなかったのだ。これは凹んだ。

もう古い客は用無しか、と後ろ向きの思い込みが加速し、syrup16gのアルバムから足が遠のいてしまっていた(それでなくても去年は台風クラブばかり聞いていたし)。

 

3人の演奏と歌声しか聞こえない、本来なら2000人を収容できるキャパを持つ新木場コースト。

客がいようがいまいがキレキレのライブをするメンバーを見ながら、私が間違っていた、と深く反省した。いつだって、どんな状況であってもsyrup16gは最高だ、という基本的なことをすっかり忘れていた。

それでなくてもこの2日間、五十嵐さんの声とギターはかなり状態が良かったし、セトリも普段聞けない曲ばかり。

念願の「光のような」を聞けて本当に嬉しかった。

MUSICAの巻頭特集を繰り返し読み、期待に胸を膨らませていた新バンド、犬が吠えるはたった一言を残して解散。残された音源をネットで繰り返し聞いていたあの頃を思い出した。

 

個人的に印象に残ったのは、初日の「旅立ちの歌」、2日目は「Thank you」。前向きな言葉を持つ楽曲が、その輝きを損なうことなく鳴らされていた。

syrup16gは、ことさらに自分の弱さを見せつけ「下からマウントをとってくる」ようなバンドでは決してない。

生きていく上で当たり前に前向きになったり落ち込んだりする日常が歌になり、それは今ここにない負の感情を商品のために無理矢理捻り出したものとは一線を画する。

だからこそどの楽曲も生まれた時代と関係なく、今に対峙する力を失わないのだろう。生きている、という状態に嘘など一つもないのだから。

 

「Mouth to Mouse 」とそれに続く「You Say 'No'」のリズム隊2人の優しいコーラス、そして12弦ギターの音色が沁みた。

「バナナの皮」のベースラインはいつだって可愛らしいし、「Your eyes closed」なんてもう慈愛の極地のような歌だ。

アンコールは2日とも定番曲が多かったが、そりゃ定番にもなるよな、という圧巻の演奏だった。そもそもsyrup16gの曲を定番、と感じられることの幸せを忘れかけていた。

 

まだまだ聞きたい曲がたくさんある。

いつか生で「パレード」を聞いて涙したい。

振替公演に行けるよう元気でいたいな、というのが、ライブが終わりモニターを眺めながら出た感想だ。

 

そう、うだうだ言いながらこの2daysのチケットは買っていたのだ。

変な漢字がでかでかと書かれたTシャツを着る生活はまだ終わりそうにない。