壊れる少し手前の永遠

好きなバンドについて書いていこうと思います。

NUMBER GIRL 無観客ライブを見て(思想の話)

今日このライブを凄く楽しみにしていて、かつ、心底楽しんだ自分は、結局差別主義を受け入れる、自分の快楽を優先する人間なのだな、とビールを飲みながらパソコンの前でぼんやりしていた。

去年の今ごろだっただろうか、アヒトの声明文が公開されたのは。問題とされた歌詞は思想というよりも偏った知識から生まれた稚拙な文章という印象だったが、差別用語を使用した以上、誤解を与えたという言葉で逃げたことへの擁護は難しい。

私個人はなかなか作品と人物を切り離して考えることができない。しかも結局ウダウダ言いながら作品を優先するのだから、よりたちが悪い。先日も映画「音楽」を鑑賞しウキウキで帰ったものの、家でパンフを見ているとプロデューサーが大嫌いな人間と知って心底落ち込んだが、作品に罪はないと自分に言い聞かせて精神の安定を保ったのだった。

世の中の問題の大半は謝罪した風を装えばうやむやにできる、という事実を国のトップが堂々と積み重ねている以上、悲しいかなそれは有効な方法なのだろう。事実、ライブ開始直前まで私はアヒトの問題のことをすっかり忘れていた。

そこでブラウザを閉じなかった以上、自己弁護の余地はない。私はどうしても向井秀徳の「ドラムス、アヒトイナザワ」の一言が聞きたかった。

作品に罪はないが、それを受け入れる自分に罪はあるのではないか、きっとあるだろう。

ただ、どうしても高校生の頃、ガラガラの電車に乗り夕陽を眺め「OMOIDE IN MY HEAD」を聞きながら黄昏ていた自分を、いつかあんなドラムを叩けるようになりたいと「透明少女」を1人練習していた自分を否定したくない、という矮小な理由で全て見なかったことにしてしまう。

 

ライブは最高だった。

ナカケンもひさこもアヒトも、かつて憧れた姿まんまだった。向井さんはライブ中麻雀をしていたようで、かなり大勝ちしていた。

もしまた配信があれば必ず見るだろうし、チケットが取れれば喜び勇んでライブに行くだろう。モヤモヤしたまま、その上でそれに蓋をして。蓋をする以上、私はそちら側だ。

私は、ナンバーガールが、そしてアヒトのドラムが大好きだ。そう言い切る他ない。

 

そういえば私、スミスも大好きなんだよな。

どんどん思考は深みにはまっていく。

もう一杯飲んで、今日もうやむやにして眠る。