壊れる少し手前の永遠

好きなバンドについて書いていこうと思います。

GEZAN「東京」

東京という記号に無根拠な希望を担保する能力はすでになく、煌びやかな情景は架空の世界を創り出すという強い意志をベースとしたポップスの中でしか存在し得ない。
都市が本来持つ混沌の入れ物としての機能も、表層のみの健全化によって失われつつあるように感じる。
それでもこの場所で様々な人が住まい、何らかの幸せを求める生活が存在するのは不変のはずだ。
「この街に意味はないよ 命に用があるの」と歌うgezanの「東京」は、分水嶺に立つ都市と人の姿を一切のフィルターをかけず直視すると共に、bpm100で刻まれる心肺蘇生への祈りが込められた、今すぐにでも刷新されるべき名曲だ。2020年を象徴するなどともて囃している時間はない。この曲が普遍性を持つ未来は東京の名を冠す新たな名曲が生まれ得ぬ世界なのではないか。そして答えを出すことができるのはこのバンドでも東京と呼ばれる場所でもなく、それぞれの街で生きている自分だけだ。


あるライター講座に参加するため、お題として書いた400文字。これを書いたのが今年の頭。
ライブにすら行けなくなる未来がこんなにあっという間に来るとは露ほども考えていなかった。
我ながら、よくも偉そうに上っ面のことを書いたな、と思う。

毎日更新される、フィクションですら思いつかないような愚劣な政策に全ての気力を刈り取られそうになる。

仕事と寝ている時以外はほとんど音楽を聴いている。
家から出ないのにレコードを買うペースは全く落ちない。
これまで音楽のために生きている、と思うことがあったが、音楽によって生かされていたことを実感する日々。

これから毎日、なるべく頑張って日記を書こうと思う。
好きな人と好きな歌のことを考える時間を増やす、それが今、4畳半の部屋でできるすべてのことのような気がしている。


GEZAN / 東京 (Official MUSIC Video)