壊れる少し手前の永遠

好きなバンドについて書いていこうと思います。

the MADRAS 2/27 円山夜想(配信) 備忘録

 ライブの感想なんてもうずっと書いてないけれど、せっかく配信で見られたので、備忘録として。

 今日のthe MADRASは、リコさんが欠席のため橋本孝志(band set)名義。最近、サイモン&ガーファンクルのレコードをよく聞いており、アコースティックセットは今の気分にぴったりだった。

 

 セットリストは、「カラーズ」「フェザー」「スパークル」の新曲群、シングル2曲、大好きな「ルーザー」。そして橋本さん復活ライブ時のように「ホール」で始まり、「エンドロール」で締め。

 ピアノ編成のため、どの曲もいつも以上に歌詞が際立ちメロディアス。

 

 歌の一部分である歌詞だけを取り上げてあーだこーだ言うのはナンセンス、という前提で、最初期の曲「ホール」「エンドロール」と新曲「カラーズ」「フェザー」を聞き比べたい。

 前2曲は、閉じられた世界でのYOU&Iの歌。後2曲は、同じ世界の下で生きる「僕たち」「君たち」への歌で、歌われる世界が広がっているように感じる。

 何より心強いのが、これらの新曲で「現状の是正」という理想と、「絶望への対峙」という現実へ向き合う姿勢両方が示されていること。

 「カラーズ」の一節、「彼を嫌う前に話せないか どうにもなれないとて どうにかなると信じ切って」の部分。

 「どうにもなれない」だけではただの現状追認であり、「信じ切って」だけでは盲信で終わってしまう。現実に飲み込まれず、希望と理想を掲げることの力強さと、あやふやな言葉を置かない覚悟を感じる。

 「フェザー」は、歌詞の一部分を切り取っていたらキリがないほど、どの箇所も好きな曲。「雨に唄えば」の有名なワンシーンを連想させるサビ。主人公は雨の中陽気に踊るが、それは雨を無理やり無視したり、ヤケになって傘を閉じているのではない。警察官に睨まれ、そそくさと帰ることから、正気を失ったわけでもないことが分かる。心の中に雲をかき分ける太陽が輝き、そして音楽が鳴っている。それが現実を凌駕するからこそ、彼は満面の笑みで雨の中を自由に踊れるのである。

 もっとも、生きずらい世界で頑張る「だけ」では、為政者や一部の人間だけに都合のよい世界にどんどん作り替えられてしまう、ということも肌感覚として分かってきた。

 理想と現実、両方を見据える新曲を生み出したthe MADRAS。長いキャリアを持ちながら懐メロによりかからない、現行のロックバンドとしての意思表示であるように感じた。

 

 ここまでを昨日の夜に書き終え、一晩寝て起きて読み返すと、今回もなかなかひどい。修正する、というよりも全消去しかないため、諦めてこのままアップすることにする。