壊れる少し手前の永遠

好きなバンドについて書いていこうと思います。

Theピーズ 6/9武道館 30年前も30年先も(3)

あの夢のような日からもう1週間たってしまいました。

「ノロマが走ってく」から始まった武道館、2曲目で早くも「とどめをハデにくれ」。

良いだけ盛り上がる客席は「やっとこんないいとこまで 辿り着いてしまった」という歌いだしの「鉄道6号」が始まると一気に聞き入るモードへ。
この曲は大阪城野音で聞いた時にもかなりグッときましたが、隣の人はもう完全に泣いていました。

曲が終わるたびに嬉しそうに声を上げるはるさんと、それ以上に嬉しそうな表情でギターをかき鳴らすアビさん。

4曲目「焼めし」でははるさんが両手を挙げてゆらゆらさせながら客席に呼びかけます。
「こんなことするの(お客さんで腕の動きを合わせること)もうこの曲しかないから」

シンちゃんのドラムに合わせてどんどん加速していくような焼めしバーニング。
盛り上がって曲に聞き入ってまた盛り上がって。
この時点で私のTシャツは汗でべっしょりでした。

4曲目が終わった時点でアビさんはTシャツを脱ぎだし半裸状態。筋肉ムキムキ。

「今日は真っ白に燃え尽きるぜ、スポ魂だ!!」と叫ぶアビさんに、
「この絵面はまだ早いって」と突っ込むはるさん。

この日の「いいMC」はだいたいアビさんから発せられた気がします。
もうこれ以上の幸せはないな、と思いながら30年ともに歩んできた2人のほほえましいやり取りを眺めていました。

5曲目「ブラボー」は流石のカッコよさ。ベースラインが本当にいいんです。
演奏自体は少しミスがあったのか、曲終わりではるさんがズレた、とつぶやいていましたが。

名曲「映画(ゴム焼き)」、アルバム「アンチグライダー」から「脱線」、かわいい曲を、と言って始まった「でいーね」とライブは続きます。
1stアルバムから「いちゃつく2人」が演奏されると、お隣の席のピーズファン歴が長いであろうご婦人はもうノリノリ。

そしてピーズ史上何回もないであろう大コール&レスポンス大会が始まります。
しかも「シニタイヤツハシネ」で。

はるさんが「まず東から、シニタイヤツハシネ、はい!」と促すと
武道館の東側からシニタイヤーツハーシネ、ときれいな大合唱。拍手に包まれる武道館。
南席はシニタイトキニシネ、西側がシニタイヤツトシネ、そしてアリーナでシニタイヤツハシネ。
シネ、という物騒な言葉でこんなにも幸せな一体感が生まれる空間は世界広しといってもあの日の武道館だけでしょう。
私は南西席だったので、歌うタイミングを逃してしまいましたが...

はるさんも「なんなんだこの光景は」と笑いながら「シニタイヤツハシネ」がスタート。
変態、凡人、年をとれ。
年を取ったからこそこんな光景が見られたのでしょう。
本来攻撃的極まりないこの曲も、敵意や八つ当たり感は残りながらも唯一無二のロックンロールに昇華されたのは、ひとえに年月を経てきたからだと思います。角は取れながらも磨かれさらに輝きを増す楽曲。

後に演奏される「実験4号」でも感じましたが、言葉の強度以上にメロディーの美しさが際立っていたように思います。
最悪の人生を消したい、と歌った当時のはるさんと今のはるさんは別の人間。
ピーズにとってもお客さんにとっても、きっと最悪の人生はすでに通り過ぎた過去。
穏やかな心でこの曲が聞ける日が来た、というのはとても幸せなことだと思います。

14曲目は私が一番聞きたかった「オナニー禁止令」。
たぶんやらないだろうと思っていたので、うれしくてうれしくてここぞとばかりに飛び跳ね盛り上がりました。
個人的ハイライトはこの場面でした。もう汗だくだく。

そして、ステージ上は来る31年目のピーズの一つの形になるであろうアコースティック編成に移りました。

あと一回か二回で流石に書き終えようと思います。