壊れる少し手前の永遠

好きなバンドについて書いていこうと思います。

1人ピーズ 6/8 水上音楽堂 備忘録


生きててよかった、と心から思える夜がまた一つ増えました。
ピーズの武道館が決まって、居ても立っても居られなくなり立ち上げたこのブログ、今日の感動は絶対に書き留めておかなければ。


それにしてもアビさんは最高だ。
アコースティックセットでも相変わらずギターの音がでかい。
今日確信したのは、死ぬまでピーズが、ロックンロールが好きなんだろうな、ということ。
時代はヒップホップだと言われても。
ロックは死んだと誰かが言っても。
theピーズがいる限り、なんなら演奏なんてしなくても、ハルさんとアビさんがこの世界のどこかで生きている限り、世界で一番カッコいい音楽はロックンロールだ、と胸を張って言えるな、ということを実感した次第です。


今年に入って、1人ピーズを見るのは今日で3回目。
初めては吉祥寺で頭脳警察PANTAとの2マン、2回目は大阪で台風クラブとキイチビールとの対バン。

特に2回目で、台風クラブをバックに演奏した実験4号はしびれました。
ハルさんが台風クラブの石塚さんをアビさんの匂いがする、と言っていてものすごく嬉しかったのを覚えてます。
その時感じたのは、ハルさんが音楽を続けてくれるだけで幸せだけど、やっぱりもう一度あの3人のtheピーズが見たい、ということでした。
武道館で沢山の幸せをもらったし、あれがバンドの区切りのライブだったことは百も承知だけれど、生きているうちに、またあの感動を味わいたいと強く思いました。


天気予報に反し、ライブ開始まで天気が持った上野。
物販もカラーゲ屋も長蛇の列。
特に酒を求める人はライブが始まっても途切れることはありませんでした。

今日のライブはゆるい感じかな、と思っていたし、実際入りは自然体そのものでしたが、日が暮れるに連れて客席の熱狂度が目に見えて上がっていました。
正直怖いくらい。
このヨッパライども、何かするんじゃないかというくらい熱が高まり、曲が終わるたびに万雷の拍手を送っていました。

ライブが終わり痛飲した状態ですが、覚えている範囲だと「ゴム焼き」は心に来ました。
ロマンチックゾーンで演奏された「どっかにいこー」なんて最高としか言えないかっこよさ。
何が最高か、と言われても、言語化したくてもできない。
とにかく体が多幸感に溢れるというか、脳より先に体が反応して感動するというか。
曲が比較的新しめなのも嬉しかった。ピーズは止まってなんかいないことを改めて実感します。
1曲目はハッピーバースデーな新曲。鯖読んでいたい僕とお嬢さん、というサビで女性の歓声が上がってました。
フォーリンも氷屋マイドもいい曲。アコースティックでもいいから、いつか録音して欲しいです。


そして7時を回り、すっかり暗くなった水上音楽堂で始まったアンコール。本編ではこまめに水分をしていたハルさんですが、矢継ぎ早に曲を演奏し、どんどん盛り上がる客席。カップルが前の方で踊ってたのが少し笑えました。席戻った後ずっとチューしてたし。

そして、まさかの呼び込みがかかり、アビさんがステージに上がった瞬間。
本当に、文字通り一斉に会場中の人間が立ち上がり、どんどん前に押しかけていき。
地球の重力の向きが変わったとしか思えませんでした。
古くはラフィンノーズの野音で人が押しかけ、ファンの方が亡くなられた事故もあったので少し危なさも感じたので私は席でじっとしてましたが、この熱狂は誰にも止められなかったでしょう。

そして始まる「Yeah」。
本当に久しぶりに聞きました。
武道館でも、その前の大阪野音でも演奏せず、ずっと聞きたかったピーズの原点みたいな曲。

この胸の高鳴りをなんと呼ぼうか。
この幸せを私たちみんなで独り占めできることのなんたる素晴らしさか。
皆が思い思いに手を挙げ、叫び、歌い。
今日の日は忘れられそうにありません。

そして2人で演奏される「実験4号」。
このアルバム時には既にアビさんは脱退していたにもかかわらず、この曲にはアビさんのギターがどうしようもなく必要で。
まだ2人いる、という歌詞は、今日はステージの2人のことにしか思えなくて、涙がどんどん溢れてきました。

2人ともステージ上で本当に嬉しそうな顔をしていて。
ロックンロールって、優しさの音楽だな、とぼんやり思いながらその幸せな光景をただただ眺めていました。

ラストは「グライダー」。
死ぬ前に最後に聞きたい曲は、これかも知れません。
アビさんに促され、イントロを引きだすハルさん。
この曲で、以前インタビューで言っていた、爆音でないこれからのピーズが完全に完成していたように感じられました。

曲の隙間をぬい、絶妙なギターを入れるアビさん。
今日まで途切れることなくバンドが続いていたかのような阿吽の呼吸でのギターの掛け合い。
少しくらい時間が空いても、この2人には何の問題もないのでしょう。

武道館の時と同様、ステージから降りたくなさそうにウロウロする2人。
時間が来てるから、皆なるべく速やかに帰ってね、とハルさんに促され、興奮と多幸感を抱えたまま会場を後にしました。


最後に、素敵だな、と思ったMCをメモって終わります。記憶はあやふやなので、こんなニュアンスだったな、という不完全な形ですが。
「今色んな形を手当たり次第にやってるけど、40周年、いや40周年は遠いか、35周年くらいにはきちっと見せられるから」
「これからもっとバンドをよくしたいと思ってる、時間がかかってごめんね」


こんな夜にまた会えるなら、どれだけでも待ちますとも。