つい最近、私は7インチのレコードを1万円で購入するという大罪を犯してしまった。実店舗で見かけたならば絶対買わない値段のレコードを、ネットでは買ってしまう事も増えてきた。
「落札しました」のメッセージが出た瞬間に正気に戻り、襲ってくる焦り。その音楽はサブスクでも聞ける訳で、それを定価を遥かに超えた値段で買うのはきっと正しい行いではない。
かつては足を使って安い掘り出し物のCDを買うのが楽しかったはずなのに。学生時代、大学近くのブックオフで、チューインガムウィークエンドの「アイス」を100円で見つけた時の喜びは今も覚えている。
私のレコード棚に入っている、100円の値札がついたままのジェネレーションXの1stを眺める。いつから私はこうなってしまったのか。その答えを探るため、私はディスクユニオンの購入履歴を調べてみることにした。
記録にある最初の購入は2015年だった。数百円のCDや本ばかりで、まだ私が「音楽を聴く」ために音源を買っていたことがうかがえる。知恵のリンゴを齧ってしまったのは2017年の4月だった。買っていたのはスピッツの「花鳥風月」、6480円。
そして本格的に壊れたと見られるのが同じ年の11月3日。この日だけで2万円以上のレコードを買っていた。思い出してきたが、この日はレコードの日で、土岐麻子さんの新譜を買うとサインが貰えたのだ。私をレコード沼に引き込んだのは土岐麻子「PINK」だった。
2018年の4月、スピッツ「フェイクファー」を8700円で買っている。8月にはハイロウズのレコードを集め始めた形跡が見られる。この2バンドのレコードコレクションを始めたあたりで、私は定価を超えたレコードを買うようになったのだ。
最近は、新品のレコードも高い。5000円や6000円の盤もザラに見るようになった。7インチ1000円、LPを3000円で出してくれるスカートや台風クラブは偉大だ。
月の小遣いの95%をレコードに費やしている(残り5%はお菓子とパン屋で買うメロンパンとアンパン)。この生活をいつまでも続ける訳にはいかない、頭の中では分かっている。しかし、先日曽我部恵一及びサニーデイのレコード収集を終えた私は、ジョナサンリッチマンのレコードを集め始めてしまった。ジョナサンのレコードは高い。再発が進んでいるのはありがたいが、どうしても旧譜は値が張る。
純粋なリスナーとしての道を踏み外してしまった私の、罪を重ねる日々は終わりそうにない。