壊れる少し手前の永遠

好きなバンドについて書いていこうと思います。

the chewinggum weekend そして the MADRAS 鳴り止まない音楽たちへ(1)

私が高校生だったころの夢の中に、the chewinggum weekendというバンドの「Killing Pop」というアルバムを購入する、という項目がありました。

the chewinggum weekend。
初めて聞いた時から今まで、ずっと恋焦がれているバンドです。
そのボーカルである橋本孝志さんは現在the MADRASというバンドで活動されています。
先月、私は遂にthe MADRASのライブに行き、橋本さんの歌声を生で聞くことが出来ました。



キラキラと輝き、しかし今にも崩れ落ちそうな轟音のギターの向こうから聞こえてくる、橋本さんの甘い歌声で紡がれる切なさとポップさが入り混じった歪で美しい詩。
エレキング」という曲を聞いた時、「これは僕のバンドだ、聞きたかったのはこれだ」と強く感じたことを覚えています。

出会いのきっかけはおそらくthe pillows
当時のサポートベースだった淳さんの元在籍バンド、ということで名前を知ったのだと思います。
バンドは2001年にすでに解散しておりネットにもあまり情報は無く、分かったのはアルバムを2枚しか出しておらず、その2ndアルバム「Killing Pop」はプレミアがついており高校生には手の出しづらい値段であることくらいでした。

曲はニコニコ動画で聞くことができました(立派な違法視聴で申し訳ないですが)。
記憶がものすごくあやふやなのですが、大昔のニコニコ動画って会員登録にお金が必要だった気がします。
syrup16gの密録音源のサムネを眺めながら、聞きたいけど家族共用のパソコンで得体のしれないサイトに登録するのはなあ、と逡巡していました。
それが無料で登録できるようになり、こっそり登録し、そこでsyrup16gart-schoolを貪るように聞く中で、ついにthe chewinggum weekendの音源に出会いました。

エレキング、キリングポップ、ロマンス、ウォーターピストル。
珠玉の名曲が詰まった「Killing Pop」の虜になり、いつかお金持ち(?)になって1万円近くするこのアルバムを所持できるような人間になりたいと思ったものです。

それからは中古CDを探しに行くとき、いつも「チ」の行をドキドキしながら見ていました。
1st album「チューインガムウィークエンド」は比較的早く、安価で手に入りました。
2ndのギターロック然としたサウンドとは異なり鮮やかなアレンジが施されたアルバムで少し意表を突かれましたが、シングルにもなっている「あの娘をつかまえて」は名曲中の名曲。
「あまりに頼りなくて儚い夢 見続けてるの」というサビは何度聞いたか分かりません。実は2ndの曲を差し置いて一番好きかもしれません。

大学生になり、昼休みに大学近くのブックオフでsingle「アイス」を見つけたときは思わず声が出ました。しかも100円。
物の価値が分からぬ愚かな民よ、とニヤニヤしながらレジに持っていきました。


塾講師のアルバイトをするようになり、一応は「Killing Pop」をネットで購入できるくらいのお金は貯まりました。
しかし私の夢は「Killing Pop」と「どこかのCDショップの棚で出会い」購入することに変貌していました。

CDはCD棚に陳列されているもの。
ネットで高いお金を払って(しかも本人にそのお金が行くわけでもない)憧れのCDを手に入れるのは、例えは最低の部類ですが、風俗で偽りの愛に溺れるようで何か嫌だったのです、当時の私は。
どこかのCDショップで恋に落ちるように「killing Pop」と出会いたい。
その想いを胸に、いつか出会える日を夢見、18歳からおよそ8年間、期待を胸に秘めて「チ」の行を探し、そして落胆し、を繰り返し。


そして2016年4月、社会人3年目の春。
私は6300円でその「風俗」で「偽りの愛」に溺れてしまうのです。


the chewinggum weekend - あの娘をつかまえて (PV full ver.)