壊れる少し手前の永遠

好きなバンドについて書いていこうと思います。

台風クラブ(とその周辺)の思い出(3)

初めてリアルタイムで聴けた台風クラブの新曲「火の玉ロック」は思い出深い。とある事情で本気で死にたい程落ち込んでいた夜、突如youtubeにアップされたPV。あの瞬間感じた気持ちはもう思い出すことが出来ないし、あの日であっても言語化は出来なかっただろう。ただ、曲を聴いて気持ちが晴れやかになったと言うよりは、落ち込んだまま次の日を迎えるための活力を与えられたように思う。以前見た時と伊奈さんの髪型がすっかり変わっていたのも面白かった。wifiが切れていることに気が付かぬまま文字通り朝まで繰り返し見たため、1日で通信制限がかかった。寝不足だし、前日に慣れない革靴を履いて歩いたため足も引きずる程痛かったが、まあそれでもいいか、と思えた。

2019年はかなりライブを見に行った年だが、その中でも台風クラブには可能な限り足を運んだ。

移転前のファンダンゴに、ピースのはるさん、キイチビール&ホーリーティッツとの対バンを見に行った。あの日のはるさんは気怠げでかっこよく、名状し難い色気があった。最前列に微動だにしないお姉様がいたが、ライブの最後にそこを目掛けてはるさんが倒れ込んで行ったのを覚えている。丸くなることのない、良い意味でのチンピラさに興奮した。
台風クラブは新曲「火の玉ロック」を演奏した。この日だったかは定かでないが、アウトロをもう一度繰り返し、最後にシンバルを叩かない終わり方をするアレンジが1番好きだった。途中はるさんと貴一さんがステージに上がりセッションが始まった。はるさんは台風クラブを「クラッシュみたいな曲があると思ったら、色んなコードがあったり、どういう若者なんだ君たちは」と評していた(うろ覚えだが)。皆で「いんらんBaby」と「実験4号」を演奏。この頃はバンドセットでピーズの歌を聴く機会がなかったため嬉しかった。はるさんが「元気がある曲とない曲、どっちから演るんだっけ?」と問い、「元気な方からです」と貴一さんが答え「実験4号」が始まって驚いた。あの曲は元気がある方なのか。終演後「火の玉ロック」の7インチを購入。まだプレイヤーは持っていなかった。

ファンダンゴから日を置かず、名古屋でおとぎ話との対バンへ。この日が私にとって平成最後のライブだったかもしれない。おとぎ話も見たい見たいと思っていたが中々タイミングが合わなかったため、嬉しいライブだった。「COSMOS」最高だったなー。開演前にレコードショップzooに立ち寄り「セレナーデ」の7インチを購入。レジのお兄さんもライブに行く予定だ、と言っていた。この日は敢えて最後列でライブを見たが、出囃子が鳴り、皆がステージに向けて歓声をあげる中、誰も後ろにいるメンバーに気づかないような雰囲気が印象に残っている。終演後もう1枚「火の玉ロック」の7インチを購入。

ライブ後もカウンターでお酒を飲み談笑できるお客さんがとても羨ましかったのを覚えている。演奏が終わった後のライブハウスに私の居場所はない(まあ自分で作らない限り居場所なんて生まれないことは分かっているつもりではあるのだが)。ライブ中に一瞬忘れていた孤独感が利子をつけて戻ってくるような感覚がいつも付き纏う。それは今でもあまり変わらず、コロナ以降はライブの楽しさよりもその後の孤独感の比重が大きく感じられ、少しずつライブから足が遠のいている。まあ行けるうちにライブに行っておいて良かったと思う他ない。この年、フジロックの数日前に転勤が決定。フジロック終わりのヘトヘトの状態で荷造りをした。関東圏に異動になり、私のライブ通いは加速する。